過去のお知らせ

遺伝毒性発がん物質の閾値(いきち)に関する国際シンポジウムについて
 2008年07月22-23日(水)の2日間にわたって三田共用会議所(東京)にて遺伝毒性発がん物質の閾値に関する国際シンポジウムが開催された。
 遺伝毒性発がん物質の閾値は、以前より議論されている研究テーマではあるが、統一された解釈(概念)が無いまま現在に至っている。
 今回は、遺伝子、細胞、組織レベルでの考察から統計的概念における閾値の考察までと各専門家の方々による発表並びに活発な議論が交わされた。
 従来、GLP試験等一定の条件下で実施される試験(レギュラトリー・サイエンス)の一つである遺伝毒性試験において検証された遺伝毒性発がん物質には閾値がないとされているため、発がん物質に遺伝毒性があった場合にはどの様な低用量(低濃度)であっても発がんの危険性が否定できないとされている。
 しかし、近年、直接DNAを損傷することから発がん性の閾値は存在しないと考えられてきた遺伝毒性物質に、生物学的閾値(Biological threshold)が存在する可能性を示唆する報告やラットを用いた低用量域での発がん性試験で複素環アミン類やN-ニトロソ化合物の実験的な閾値(Practical threshold or Perfect threshold)の存在が報告されている。
 今回のシンポジウムでも、従来通りの解釈、理論的閾値並びに実験的閾値に関してそれぞれの存在を認める発表の他、直線的用量反応性を示す場合でも低用量域で平衡化傾向の認められる(Hockey stick型)遺伝毒性発がん物質においては閾値が存在する可能性が高いとする解釈があり、大変興味深かった。
(2008年07月22-23開催の遺伝毒性発がん物質の閾値に関する国際シンポジウム)

<<「過去のお知らせ」一覧へ戻る



E.S. Support

株式会社 イ-・エス・サポ-ト





▲ページトップ