過去のお知らせ

「JaCVAM第3回ワークショップ」について
  2010年1月20日(水)国立医薬品食品衛生研究所(東京)おいて、JaCVAM(Japanese Center for the Validation of Alternative Methods)第3回ワークショップが開催された。
今回は、皮膚感作性試験のin vutro代替法試験として日本で開発されたh-CLAT(human Cell Line Activation Test)に関するシンポジウムが開催された。
現在多用されているLLNA試験(Local Lymph Node Assay)は、マウスを用いるため、動物愛護の観点からもin vutro試験による評価法の確立が望まれており、h-CLATの公的機関によるバリデーションに向け試験法の信頼性と適正を検証したとのことであった。
試験条件や対象となる化学物質(香料、防腐剤及び染毛剤)についての評価結果に関する説明の概略は以下の通りであった。

  1. 【試験の原理と概要】
    ・アレルギー感作誘導時のランゲルハンス細胞の活性化に着目し、THP-1細胞(ヒト単球由来株化細胞)を用い、細胞表面のCD86及びCD54の発現変化を指標評価法としたin vitro皮膚感作性試験(評価)法。
    ・施設内再現性、予測性及び適用限界を明らかにするため、LLNA法で評価済みの100化合物に関して評価、検討。
    ・陽性基準:CD86のRFI=150以上(EC150)、CD54のRFI=200以上(EC200)とする。
    ・予測性一致率は、対LLNA法で84%、対ヒトでは80%であった。
    ・低溶解性(難溶解性)の化合物、代謝が感作性潜在能に関与する化合物、弱い感作性潜在能の化合物においては適切な評価が出来ない場合が示唆され、適用限界と考えられたとのことであった。
  2. 【施設間再現性】
    ・一致率は54/56データ(96%)であったが、被験物質が「代謝活性化を有する場合や水に対して不溶性」の場合に偽陰性が認められたとのことであった。
  3. 【細胞選択条件】
    ・日欧米細胞バンクの計4種細胞(元はATCC)による再現性を確認し、1細胞バンク(Z)で細胞生存率低下(90%以下)、Ni処理でCD86/CD54の発現増強が認められなかったとのことであった。
  4. 【血清選択条件】
    ・血清提供メーカー3社の牛胎児血清(FBS)4ロットを用いて検討した結果、細胞増殖性、細胞毒性及びCD86/CD54 発現変化に血清の違いによる明確な差は認められなかったとのことであった。
  5. 【細胞培養条件】
    ・培養細胞及び細胞播種濃度の増加に伴い、CD86/CD54の発現低下傾向が認められたことから、培養条件(細胞 播種濃度や培養時間)が重要であり、「適切な前培養」が必要とのことであった。
  6. 【代表的化学物質での検討】
    ・香料の場合においては、揮発成分の蒸散及び閉塞による影響は少ないことが示唆されたが、被験物質の溶解・分 散状態が細胞毒性に影響を及ぼす場合があることが示唆されたとのことであった。
    ・防腐剤の場合においては、一致率がA施設;81.3%(13/16物質)、B施設;75%(12/16物質)となる、施設共通の偽陰性;1物質、偽陽性;2物質が認められたとのことであった。また、生理食塩水とDMSOのいずれでも陽性となり、溶媒の違いがh-CLATの結果に影響を与える可能性は低いことが示唆されたとのことであった。
    ・染毛剤の場合においては、LLNA法との一致率;100%となり、フローサイトメトリーの検出波長の530nm(FITC測定 域)及び620nm(PI測定域)において蛍光が認められたが、染毛剤のような自家蛍光を有する物質についても正しく陽性と判定できることが示唆されたとのことであった。

以上、OECDガイドラインへの収載を目指し、今後さらに各種比較検討を実施するとの事であったが、他のin vutro 代替法試験同様、in vutro試験特有の問題点を克服するために、関係行政機関、企業及び研究機関の水平展開的協力の必要性が増々求められるものと感じられた。

(2010年1月20日(水)開催のJaCVAM第3回ワークショップより)

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