過去のお知らせ

NITE化学物質管理センター成果発表会2011について

 2011年6月15日(水)東京会場(渋谷区文化総合センター大和田)にて、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)化学物質管理センターによる成果発表会が開催された。当日は、基調講演及び特別講演を含めた5 講演会、ミニセミナー、ポスターセッションが行われた。当日は400名以上が参加していたと思われ、前年度同様に関心の高さが感じられた。また、開会挨拶では、化学物質管理政策の今後の展望や3月11日の東日本大震災をふまえた今後の化学産業の貢献への期待についても述べられた。

■1.講演内容
講演内容は以下の通りであった。

(1) 基調講演:「化学物質管理政策の動向」
 (経済産業省製造産業局化学物質管理課 課長補佐  田代 毅氏)
   本年度(平成23年)4月に施行された改正化審法に伴うスクリーニング評価手法及びリスク評価手法の概要について説明がなされた。また、ナノ物質への対応やGHS(世界調和システム)分類・表示の推進、代替法の研究開発推進などの化学物質管理政策における今後の課題についても述べられた。
(2) 特別講演:「リスク比較」
 
(独立行政法人産業技術総合研究所 安全科学研究部門リスク評価戦略グループ 研究グループ長
  蒲生(がもう) 昌志氏)
 

 特別講演では、リスク評価の概念と実際にどのようにリスクを評価するのか、また、定量的なリスク評価についてシロアリ防除剤の代替えのリスク評価やダイエットのベネフィットなど、具体例を交えた説明がなされた。さらに、リスク評価について回る不確実性とリスクのトレードオフについても述べられた。

(3) 「アジアの化学物質管理制度〜リスク評価の位置づけ〜」
 (NITE化学物質管理センター 情報業務課  竹田 宜人氏)
 

 平成22年度のNITEの調査によって、アジア諸国の化学物質管理政策に関する情報に対する事業者のニーズや関心が高まっていることが明らかとなり、本講演ではアジア諸国、特にインドネシア、ベトナム、韓国の化学物質管理の現状について発表がなされた。また、アジア諸国の管理制度は主にハザード管理に基づいていることや、国によっては法制度が新たに成立したばかりのため未整備で課題も多く、ガイダンスが公表されていないことなどをふまえ、今後のアジア地域内での情報共有の重要性についても述べられていた。

(4) 「NITEにおける有害性評価〜ハザードデータ評価委員会の活動について〜」
 (NITE化学物質管理センター 情報業務課  吉田 しのぶ氏)
 

 平成19〜22年度に開催されたハザードデータ評価委員会では、反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験(TG422)を実施した88物質について審議され、本講演では、具体的な評価事例を用いた発表がなされた。評価結果が化学物質総合情報提供システム(CHRIP)に掲載されていることからCHRIPの利用についても説明がなされた。現在、88物質のうち、32物質のデータが掲載されており、残り56物質についても順次掲載される予定とのこと。また、ハザードデータの利用の際には、値の確認だけでなく、推定根拠もぜひ確認してほしいとのコメントがあった。

(5) 「NITEにおける化学物質のリスク評価の取り組み」
 (NITE化学物質管理センター リスク評価課  平井 佑介氏)
 

 本講演では、リスク評価手法開発、実施の取り組みと今後の課題について発表がなされた。取り組み内容は、第1期(2001〜2005年)及び第2期(2006〜2010年)と第3期(2011〜2015年)で大別され、第1〜2期ではNEDO1プロジェクトにおける初期リスク評価手法の開発や昨年度のスクリーニング評価結果について、また今後第3期における人材育成及び情報基盤の整備の必要性について発表がなされた。

■2.ミニセミナー・ポスターセッション
講演の合間には、ポスターセッションが設けられ、参加者と講演者の意見交換が行われた。また、ミニセミナーは、「CHRIPにおける化審法情報の提供」及び「カテゴリーアプローチを用いた化学物質の生物濃縮性予測手法の検討」の2講演で構成され、それぞれの講演項目に焦点を絞った具体的な説明がなされた。

(2011年6月15日(水)開催の(NITE)化学物質管理センターによる成果発表会より)

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